先日、熊本市長嶺にある熊本赤十字病院の臨床現場を見学する機会をいただきました。
日本赤十字社は全国に91の病院を有していますが、その中で鍼灸治療が行われているのは熊本赤十字病院が唯一の施設です。この特徴的な取り組みを目の当たりにすることができ、大変貴重な経験となりました。
熊本赤十字病院の鍼灸治療見学
今回の見学では、総合内科の加島雅之先生と、鍼灸師の三谷直哉先生にお話を伺いながら、実際に行われている鍼灸治療の一部を見学させていただきました。
鍼灸治療の対象となる患者は、不眠、運動器疾患、内科系の不調、さらには血腫など幅広い症状を抱えた方々です。
実際に治療を受けている患者さんの表情や言葉からも、鍼灸治療が彼らにとってどれほどの効果と安心感をもたらしているかがよく伝わってきました。現代の日本の医療現場において、鍼灸がこのように効果的な治療手段として受け入れられているのは、非常に印象的でした。
普通の病院では、「鍼灸なんて意味ない」というお医者さんも多いでしょうね。(笑)
特に興味深かったのは、漢方が急性期の治療にも積極的に用いられている点です。西洋医学と東洋医学が統合された治療が実践されており、これこそが「統合医療」の真髄であると感じました。鍼灸と漢方の併用により、患者の自然治癒力を最大限に引き出すことが目指されているようですね。
また、見学中に拝見したカルテには、鍼灸や漢方の中医学的な治法や治則が記載されると同時に、西洋医学的な検査結果や経過も詳細に記録されていました。こうした中医学と西洋医学が共存し、互いに補完し合う環境が整っている医療施設は、日本でも非常に稀です。医療の現場で伝統鍼灸や漢方がこれほど体系的に扱われていることに、大きな驚きと感銘を受けました。
現在、熊本赤十字病院では鍼灸治療に関するデータを集積しており、今後このデータが全国の赤十字病院における鍼灸導入の推進力になることが期待されています。鍼灸の効果を科学的に裏付け、他の医療機関でも鍼灸が広く採用される未来が見えてきました。
これからの統合医療の発展に大いに期待し、熊本赤十字病院の先進的な取り組みが、全国的なモデルケースとなることを願っています。
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