前回は道家の特徴について書きました。
今回は、中国医学の死生観と疾病感についてです。
①人の生と死
「人の生は気の聚まりなり。聚まれば則ち生と為り、散ずれば則ち死と為る。・・性名は汝のものに非ず、是れ天地の委順なり。・・天地の彊陽の気なり。又なんぞ得てわがものとすべけんや。」荘子 知北遊篇
②魂と魄
「始めを原ねて、終わりに反る。故に、死生の説を知る。精気物と為り、游魂変を為す。是の故に鬼神の情状を知る。」易経 繋辞上伝
訳:生きている間は、魂と魄は結合しているが、死ぬと分離する。魂は軽くて天に昇り、魄は重くて地中に降る。
③人の誕生
「淮南子」には胎児が母親の胎内において、10ヶ月に成育していくプロセスや五臓と感覚器官との関連性や、人体と天地との相関性などが説かれている。
「一月にして膏たり、・・・四月にして肌あり、・・・八月にして動き、・・・十月にして生る。形体以て成り、五臓乃ち形す。・・・」淮南子 (精神篇)
④病の成り立ち
人間の病気は、陰陽のアンバランスがもとであり、邪気が襲うことによる。気は常に流動し純粋無垢な状態がよい。
荘子「大宗師篇、刻意篇」
以上のことからも中国医学には、気の動き、流動、バランスを重視する道家の思想が色濃く反映されいます。
続く
Comments