初診日:X年9月30日
主訴:右腰部〜下肢後面にかけて電撃痛
■発症の状況
9月18日(初診日2週間前)の朝に、右臀部に違和感程度の痛みを感じたため、普段通っているデイサービスを休む。
その日の深夜、寝ているときに右腰部から右足先にかけて、電気が走るような激痛が出現。
翌日、整形外科を受診し、「腰椎3〜4番目で神経が当たっている」と言われる。
整形外科では、腰の牽引をしてもらい、少し楽になるが、その日の夜には元の症状に戻る。
9/19〜9/25 数カ所の病院に行くが、すべて「神経があたっている」と言われる。
9/26 ブロック注射
直後は楽になったが、病院から帰るころには痛みがもとに戻っていた。
現在
症状は変わらず、ふとした瞬間に電撃痛が頻繁に来る。
夜間痛もでているため、途中で起きることもしばしば。
■既往歴
幼少期
特に大きな病気はなく、健康でよく外で遊ぶ子供だった。
中学:ソフトテニス部に所属
高校
20代
30〜40歳:足のむくみ
50代:腎臓問題なし、閉経
60歳:狭心症
72歳:交通事故
74歳:脊柱菅狭窄症
79歳:白内障
80歳:主訴発症
<その他の問診情報>
首肩が凝る
腰が痛い
痰が切れにくい
冷え症である
むくみがある(場所:足)
■医療機関から薬をもらっている
■運動習慣:有り
デイサービスでの運動:自転車
■環境
月水金にデイサービスに通う
9:00〜15:00
■自身の性格
色々考え込みやすい性格
診察所見
顔面気色診
心肝→色抜け
脾→赤
腎 →青
脈診
1息3至
脈の状態:滑弦 結代脈(不整脈)
脈幅+
脈力+
重按(右無力、左±)
舌診
舌背(表)→紅色、厚白膩苔(舌中〜舌根部)
舌腹(裏)→紅色 舌下静脈の怒張
腹診
心下、脾募(左>右)に邪あり、臍周、右肝相火
背中
左膈兪・・・虚中実
左胆兪、右膀胱兪・・・虚
右脾兪、右胃兪・・実
治療の経過
<初診の治療>
治療・・・右申脈1本刺鍼
<2回目治療>
鍼後のだるさや眠気はなし。
前回治療後、「激痛がない時間が増えた。不意に激痛が走ることは1日の中で何度もある。痛みの強さ、質、部位は変わらない。夜間痛、夜間尿もなく眠れた。」
治療・・・右申脈に1本刺鍼 20分
<3回目治療>
鍼後のだるさや眠気はなし。
前回治療後、「激痛が来る間隔はさらに伸びていて、痛みを感じない時間が増えている。
しかし、痛みが来るとチクチクと右足先まで刺すような痛みを感じる。」
初診時の痛みps10 →現在7-8
夜は夜間痛もなく、夜間尿もなく眠れた。
治療・・・右申脈に1本刺鍼 25分
<4回目治療>
前回治療後、「治療当日は症状を感じないが、翌日から日によって右臀部〜右スネまでズキッという痛みが出る。出ない日もあり、刺されるような電撃痛は無くなっている」
普通に歩けるようになってとても喜んでいる様子。
治療・・・右申脈に1本刺鍼 30分
<5回目治療>
前回治療後、右腰〜右足の症状はかなり調子が良く違和感程度だったが、2日前に重い荷物を持ちながら階段を上り下りしたため、その日から右臀部の痛みが強い。
治療・・・右申脈に1本刺鍼 30分
<6回目治療>
右腰部から右足先までの電撃痛は一切出ていない。
たまに前屈動作で、右臀部にズキっという痛みあるが、直立していると何も感じない。
初診時ps10 →現在ps4
治療・・・右申脈に1本刺鍼 25分
<7回目治療>
右腰部から右足先までの電撃痛は一切出ていない。
右臀部はズキっという痛みではなく、違和感程度になっている。
夜間痛なし
2日前に、原因は分からないが、突然左肩にズキッという痛みを感じる。
顔を洗うときに感じる。
病院で医師から「左肩の筋繊維が切れてると思う」と言われる。
「今日は肩も一緒に診てほしい」とのこと。
治療・・・右申脈+左合谷に2本刺鍼 25分
<8回目治療>
肩はだいぶ楽になった。ほんの少し動かしずらさはある。
腰から臀部はトイレや風呂の立ち上がり時に少し痛むことがある。
治療・・・右申脈に1本刺鍼 30分+右合谷に刺さないかざす鍼(古代鍼)
<まとめ>
こちらの患者さんは、初診日に車から降りる事ができず、電撃痛に襲われていました。いっとき安静にし、院内に入られ、椅子に座りながら行う問診でも、電撃痛が何度かあるような状態でした。
お話を聞くと、何箇所も病院や整骨院を訪れましたが治らなかったと。
しかし、たった3回の右足首のツボへの鍼治療で、電撃痛がなくなっている。
鍼治療の面白さを改めて感じました。
ちなみに腰痛=申脈という短絡的な考えで、真似すると悪化しますので、ご注意を。
膀胱のツボのラインにある申脈。
膀胱だけではなく、腎、陽蹻脈、胆、心神などなど色々な臓腑経絡に関わります。
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