髪は、東洋医学的には「血の余」とされています。
血液の余り
そのため、血が髪を正常にに濡養できなくなると髪に異常が起きてきます。
染髪や脱色など化学薬品による損傷がないにも関わらず、髪が妙に細くなったり、抜ける量が多くなったり、ぱさぱさしたりなどが起こってきます。

【原因】
大きく分けると以下の2つのどちらかが考えられます。
1. 頭皮における血液の不足によるもの
2. 血液の停滞によるもの
細かい原因には以下の3つがあります。
◯上半身に熱や湿熱がこもり、血液を暗耗したり、煎熬されることで頭部での濡養失調が起こるもの
◯全身の血虚(血液の不足)あるいは部分的な(頭部)血虚による濡養不足
◯瘀血(血の塊)や湿痰による気血のめぐりが阻害による濡養失調
いずれの場合でも、「上半身(頭部)においての、血の濡養機能の低下」に起因します。
この病理が患者さんが訴える症状と関わっているのかどうかが問題となります。
また、頭髪の脱毛症のことを、脱髪といい、東洋医学の古い医学書には「髪堕(ハツダ)」と記載されています。
髪の毛が「細くなる」「黄色くなったり白くなったりする」「ぱさつく」など毛髪の色沢や形態に異変が起こることを「毛髪変異」といいます。
東洋医学の古医書(黄帝内経)では、「髪鬢颁白(はつびんはんぱく)」「髪無澤」「毛焦」などと記載されています。
■脱髪の分類
血熱生風
病理・・・精神的刺激により心神が擾乱され、心火が盛んとなり血熱生風し、内風のために脱毛する。
陰血虚損
成人に多く、毛髪が細く柔らかくて油状の光沢があり、毛髪の断裂はなく、脱毛部位は頭部あるいは両額角に多く、頭皮に油膏が多い。落屑・かゆみなどを伴い、発病は緩慢で慢性に経過し、持続的に脱毛部位が拡大する。
気血両虚
年齢に関係なく慢性病や産後に発病し、毛髪が乾燥してツヤがなく切れやすくなり、頭部全体が脱毛してまばらになる。特に摩擦部の後頭などに著明で、発病は緩慢で慢性の経過をたどる。かゆみなどの自覚症状はない。
瘀血
血液がドロドロするタイプ。省略
■毛髪変異の分類
精血虚損
特徴・・多くは毛根部より異変が始まり、髪が細くなったり、髪がぱさついたり黄色っぽい色に変色したり白髪になったりし、艶がなくなる。頭頂部や、額の生え際から脱毛が発生する。ほかに、陰虚や気虚血虚の全体所見が見られる。
気血両虚
毛髪の末端より異変が始まり、毛髪の太さがまばら、枝毛、乾燥などで切れやすく、特定の病変部位はない。
血熱風燥
白髪はあるが、枝毛もなく髪質はしっかりしている。束状にまとまって白髪になるか、あるいはまばらに生じる。