熊本のパニック障害なら鍼灸で改善|東洋医学から見る原因と治療
更新日:2026年2月12日

木山祐輝
この記事の執筆・監修
はり師・きゅう師。伝統鍼灸 渓風院 院長。純粋な東洋医学を追求する学術団体 「一般社団法人 北辰会」にて、伝統鍼灸を体系的に学ぶ。創設者・藤本蓮風先生の内弟子として修行を重ね、現在は熊本市中央区水前寺にて、東洋医学専門の鍼灸治療を実践している。
突然の動悸、ざわざわ感、息苦しさ、めまい、強い不安感。
「このまま倒れてしまうのではないか」という恐怖に襲われる――
パニック障害は、経験した人にしか分からないつらさがあります。
病院で診断を受け、薬を服用していても、
発作への不安が常に頭から離れない
電車や人混みが怖くなった
「また起きるかもしれない」と考えるだけで体調が悪くなる
このようなお悩みを抱え、熊本で鍼灸治療を探される方も少なくありません。
伝統鍼灸 渓風院では、パニック障害を
「心だけの問題」と切り離すのではなく、「身体の状態と深く関係するもの」として捉えています。
東洋医学には「心身一如(しんしんいちにょ)」という考え方があり、
心と身体は切り離せない一つのものとして理解されてきました。
臨床の現場では、
考え方や性格だけに目を向けるよりも、
まず身体の緊張や自律神経の乱れを整えていくことで、結果として心が落ち着いていくケースを多く経験します。
そのため当院では、パニック障害を
自律神経を含めた全身のバランスの乱れという「体の状態」として捉え、
東洋医学的な視点から身体から整えていく鍼灸治療を行っています。
この記事では、
パニック障害(パニック症)とはどのような状態か
西洋医学と東洋医学における考え方の違い
東洋医学的に見たパニック障害の背景
パニック障害に対して鍼灸でできること
について、熊本で鍼灸を行う立場から分かりやすく解説します。
パニック障害(パニック症)とは?

パニック障害(パニック症)とは、特別な危険がない状況にもかかわらず、突然強い不安や恐怖とともに身体症状が現れる状態を指します。
代表的な症状としては、
動悸・胸の圧迫感
息苦しさ、呼吸が浅くなる感じ
めまい、ふらつき
手足のしびれ、発汗
「このまま倒れるのではないか」「死んでしまうのではないか」という強い恐怖感
などがあります。
検査を行っても、心臓や脳などに明らかな異常が見つからないことも多く、「原因が分からない」という不安が、さらに症状を悪化させてしまうことも少なくありません。
また、発作そのものだけでなく、
発作が起きるのではないかという予期不安
電車・人混み・閉鎖空間などを避けるようになる
といった形で、日常生活に支障が出てくるケースも多く見られます。
パニック障害に対する一般的な治療(西洋医学)
病院では、パニック障害に対して主に以下のような治療が行われます。
抗不安薬
抗うつ薬
認知行動療法などの心理療法
これらは、発作の頻度や強さを抑えるために重要な治療法です。
一方で、
薬を飲んでいても身体の緊張が抜けない
副作用や薬の依存が気になる
「症状は抑えられているが、体調が万全とは言えない」
と感じる方もおられます。
そのため近年では、病院での治療を継続しながら、身体の状態を整える補完的な方法として、鍼灸治療を併用される方も増えています。
東洋医学から見たパニック障害

東洋医学は、中国を発祥とし、2000年以上の歴史をもつ伝統医学です。西洋医学が日本に入ってきた明治時代よりもはるか以前から、多くの医家が病の成り立ちや治療法を記録として残してきました。
その中で、現在でいうパニック障害に近い病態は、古典では「奔豚気病(ほんとんきびょう)」と記されています。
これは、
豚が驚いて走り回るように、下腹部から何かが突き上げてくるような感覚とともに、強い恐怖や動悸が起こる状態
を表した病名で、現代のパニック障害と非常によく似た症状です。
奔豚気病にみられる2つの代表的な病態
古典では、奔豚気病には大きく分けて2つの病態があるとされています。
① 肝気上逆(かんきじょうぎゃく)タイプ
強い驚き・恐れ・怒りなどをきっかけに、下腹部から塊のようなものが胸や喉へ突き上げてくる感覚が生じ、
動悸
強い不安
呼吸のしづらさ
寒気やほてり
吐き気
などを伴います。
比較的、発症して間もない方や症状が軽度な方に多いタイプです。
② 水寒上衝(すいかんじょうしょう)タイプ
もともと冷えやすく、体力が落ちている体質の方に多く、
下腹部の動悸を先に感じる
その後、上へ突き上げる感覚が出る
強い冷え、手足の冷え
などを伴います。
難しく見えるが、ポイントはとてもシンプルです
難しい漢字が多くて、少し混乱しますよね。
ですが、ポイントは非常に単純です。
これらに共通しているのは、**「気が上へ上がりすぎている状態」**だということです。
東洋医学では、強いストレスや緊張が加わると、身体は身を守るためにグッと力を入れます。この調整を担っているのが「肝」の働きです。
発症初期や軽症の方では、
気の巡りが滞る(肝鬱気滞)
気が上に突き上がる(肝気上逆)
といった状態が中心となっていることが多く、実際の臨床でも、身体の緊張をゆるめ、気を下へ導く鍼治療で大きく楽になる方を多く経験します。
しかし実際の臨床では、それだけではありません
実際の臨床で は、この「気が上がる状態」に加えて、
心血虚(しんけっきょ)
→ 心を支える血が不足し、不安や動悸が抑えられない状態
を併せ持つ方が非常に多い印象です。
このタイプの方は、
不眠・多夢
寝汗
動悸
漠然とした不安感
などを訴えることが多く、脈が弱い、舌が腫れぼったいといった所見もみられます。
この場合、単に気を下げるだけでは不十分で、まず心血を補い、土台を立て直す治療が必要になります。
さらに重症化すると「腎」が関わってきます
さらに症状が慢性化・重症化または先天的に身体が弱い体質の方では、下半身を支える「腎」の働きが弱くなり、気を下へ留めておけない状態になっていることも少なくありません。
このタイプでは、
腰痛
夜間尿
尿切れ・尿漏れ
足の冷えやむくみ
閉経後や40〜50代以降の発症
などを伴うことが多く、下半身への鍼治療から始める必要がある場合もあります。
パニック障害は「病名」で治すものではありません
ここが、あなたが一番伝えたいところだと思います。
「パニック障害」という診断名が同じでも、身体の状態は一人ひとり全く異なります。
そのため、
過去の病歴
体質
生活環境
ストレスが加わった時の身体反応
などを丁寧に問診し、脈・腹・舌などを総合して診断を行い、その人に合った治療を組み立てていくことが不可欠なのです。
熊本で当院が行うパニック障害の鍼灸治療

伝統鍼灸 渓風院では、北辰会方式による東洋医学理論をもとに、丁寧な問診と、脈・腹・舌・背中・手足のツボなどの診察を行っています。
発作の有無だけで判断しない
「今の身体の状態」を重視する
その日の体調に合わせて施術内容を調整する
ことを大切にしています。
パニック障害は、発作が出ていない時期にこそ身体の状態を整えておくことが、症状の安定を保つうえで非常に重要です。熊本で、落ち着いた環境の中、時間をかけて丁寧に身体を診てもらいたいとお考えの方に、鍼灸という選択肢を知っていただければ幸いです。
本記事では、パニック障害についての大まかな古典的な考え方と、実際の臨床で重視している視点についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
当院では、これまで多くのパニック障害(パニック症)の方を診てきました。数ある疾患の中でも、身体全体のバランスを整えていく伝統鍼灸が力を発揮しやすい症状の一つだと感じています。
冒頭でお伝えしたように、「検査を行っても心臓や脳に明らかな異常が見つからない」「薬を服用しても再発を繰り返している」「薬だけではコントロールしきれない不調が残っている」といったお悩みをお持ちの方は、現在の治療を大切にしながら、身体を整える方法として鍼灸治療を併せて検討してみることも、一つの選択肢になるかもしれません。






