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パーキンソン病による手の震え、こわばり、不安感・ふらつきの1症例

熊本市で東洋医学専門の鍼灸治療を行う当院では、内科的な不調や自律神経の乱れなど、原因がはっきりしない症状にも対応しています。  このページでは、実際に来院された方の症例と、その診察・施術の流れをご紹介しています。同じようなお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。

初診日:X年2月13日

パーキンソン病の4大兆候

患者さん情報

60代女性 現在無職
2ヶ月後に行われる合唱コンクールに向けて、毎日自宅でクラシック歌唱の練習をしている。
パーキンソン病は、薬(ドパコール)を服用することで動くことができるため、外出は問題なくできる。
薬の効果が薄くなると、手の震え(安静時)、背中が重たさ、後ろに転倒しそうになる症状が出現してくる。何か物に捕まらなければ、着替えもできない。その肉体的な面で不安になりやすい。
3ヶ月前から朝夕の薬→朝昼夜の1日3回服用するようになっている。

服用中のお薬

ドパコール
アジレクト

お悩みの症状

パーキンソン病による不安感・ふらつき・手の震え

パーキンソン病

両手の震え(左=右)、ふらつき、背中のズーンとする重いコリ感、体全身が滑らかに動かない

薬服用しないとNRS9〜10、薬を服用しているときはNRS6

寒暖差がきつい寒い日に、両手の震え、ふらつきが出る。(TOP) 

その体のことで不安になる。

薬が効くまでの時間は、自分の体全身が木のようにカクカクする。

冬の時期は症状が悪くなりやすい印象がある(今年はとくにきつい気がする)


<増悪因子>

気温の急激な変化 寒い日

睡眠が浅かった翌日に両手の震え、ふらつきが悪化しやすい

スマホや小説を書くなどの細かい作業後(背中の思いコリ感)

<緩解因子>

薬(ドパコール、アジレクト)

深呼吸、瞑想

<誘発因子>

不安になると手の震え、ふらつきも悪化しやすい気がする

薬を服用しない時間

<不変因子>

時間帯、二便、発汗

<不明因子>

入浴(薬が効いてるときに入るため)

パーキンソン患者のイラスト
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既往歴〜現病歴

幼少期

父、母、本人、妹(2つ下)の4人家族。

母がとても厳しい性格で、父とよく喧嘩をしていたため、母の機嫌を伺うことが多かった。

その母は「勉強ができないなら音楽をやりなさい」という教えだったため、ヤマハの音楽教室で歌やピアノを行っていた。強制的に始めることになったが、嫌ではなかった。

妹も自分も風邪を引くと、ほぼ必ず中耳炎(左=右)になっていた。


小学時代

1年生:この頃、急にハーモニカが吹けない、飲料水を飲みこめないという症状が出現。病院にてアデノイドが原因とのことで、切除(以降、症状なし)

今で言うアトピー?なのか、両肘窩に湿疹ができていた。乾燥、痒みあり。痒みが強いときは、軽いステロイドを使用していた。黄汁なし。(小学生のうちに完治)

合唱部に所属。

6年生:初潮。月経痛なし、血塊なし、不定期(1〜2ヶ月に一回)、出血量普通。



中学時代

合唱部に所属。

運動習慣は体育の授業のみで、持久走などの体力はあるが、球技などの細かいスポーツは苦手だった。

月経状況(出血量普通、周期は定期的になったが初日〜2日目にかけて下腹部の鈍痛を感じるようになる。

母から「薬は毒だ」と教えられていたため、痛み止めは服用なし。薬なくても寝込むことはなかった。



高校時代

ESSという学内コミュニティーに所属。

高校時代からいわゆる「ガリ勉」のような生活で、ずっと勉強していて楽しい思い出は少ない。

この頃から視力が悪くなりメガネをかけるようになる(左0.1右0.8)※現在は左0.3右0.5。

目の疲労感はあるが他症状なし。

高校3年生以降、月経痛なし、定期的、出血量は少し多くなる程度。



20代

熊本市内の中学に勤務。音楽の先生をしていた。

生活は充実していて仕事も楽しくできた。

大きな病気、症状なし。


30代〜40代

仕事で昇進したい気持ちが出始め、学外の授業の大会?のようなイベントに参加することが多かった。800人近く聴講生が集まり、そこの各ブースで授業を行っていた。

人前で話すときに、緊張することが多く両脇に発汗があった。

40代までに7校ほど転勤があった。どこの学校でも事務的な仕事を任せられることが多かったが苦ではなく、人間関係も良好。とくに病気や症状はなし。

月経痛時々有り(2日目)・血塊あり・出血量普通・月経後体調不変

食事・二便・睡眠問題なし


50代前半

年齢的に音楽の授業をこのまま続けていけるか悩み、教頭や校長になるための管理職試験の勉強を始める。4度受験し、すべて最終面接で落ちたため、向いてないと割り切って音楽の教員に戻る。

この頃から、外反母趾(左=右)が気になるようになる。痛みなし。

食事・二便・睡眠問題なし


56〜57歳

56歳:閉経

2年間、主幹教諭になる。(教頭の下の役職で、校長と教頭の業務補佐の仕事)

上と下に挟まれるような中間管理職で、教員同士の人間関係の話を聞くのがとてもストレスだった。初めて人間関係に悩み、校長や教頭になれる器がない自分のせいだと自己嫌悪がひどかった。主幹教諭の役職によるストレスに耐えられなくなり、降格願いを出して音楽の教員に戻る。授業やデスクワーク中心の仕事内容に変わる。とても気が楽だった。

いつからか覚えていないが、この頃から左膝が急に伸展しにくくなり、小刻み、すり足歩行が出現し始める。肩が左右に揺れるように歩行し、ふらつくようになる。

整骨院や整形外科でリハビリ、マッサージを治療するが治らなかった。

秋〜冬の寒暖差がきつい日や寒い日、不安になったりするとふらつきや手の震え、歩行の足の動きも悪くなる。※外気が冷たい外に出た時にとくに動きの悪さを感じる。

この頃から、背中の重いこり感、寒がり、手>足(左=右)が冷え、尿切れが悪くなる。手足の冷えは冬のみ。


58〜59歳

2019年夏、運転中に急に左手が震える症状がでる。5秒間ほどで震えは止まる。

その1ヶ月後、バスから降車する際、つまずき、そのまま道路へ転倒。

病院で左大腿骨頭の軽い骨折といわれる。現在後遺症なし ※自宅にて安静にしていた。

一緒に住んでいた母の発言行動がおかしくなり、仕事をしながら介護をしていた。


60歳

母が認知症を患い、仕事や家事、介護の時間に追われる生活だったが、こなせている自分が嬉しく感じていた。母の介助後に腰全体の重だるさを感じる様になる。安静にしているとすぐによくなる。

2021年1月に熊本の病院にて、パーキンソン病と診断され、薬(アジレクト)を服用する。薬が聞いている4〜5時間は足の動きやふらつき、震えなどは出ずに、普通にスムーズに歩ける。

2021年3月定年退職。


61〜62歳

退職後、母が自宅付近のケアホームに入り、自分の時間が増え、ゆっくりした生活ができるようになる。時間に余裕ができたため、音楽の合唱団に所属し、レッスンなどの生活を送るようになる。

父他界(2023年6月)

その後の2ヶ月間のみ、睡眠が浅く1時から3時に中途覚醒が2回ほどでるようになる。※現在、たまに中途覚醒あり(1〜3時)


2023年9月:父が他界し、自分も退職したため今なら行けると思い、クルーズ船で10日間日本一周旅行にいく。薬があると普通に行動できていたため、十分に楽しめていた。

しかし、4日目の乗船中、いつもより1時間ほど早く薬の効果が切れ、急に両手の震え、背中全体にズーンという重だるい感じと、後ろに転倒しそうで、立っていられないようなふらつきが出現する。(NRS10)

何かを捕まっていないと、下着も変えれないような状態だった。


この日は薬を服用しても、寝るまでずっとこの症状が続いた。


以降、薬が効かないことでよく不安を抱くようになる。


病院にて、薬の変更(アジレクト→ドパコールへ)

薬は朝、夕の1日2回で効果はある。


11月:薬の効果が少しずつ短く感じる様になり、自己判断で1日3回(食後)に変更する。

薬服用しないとNRS9〜10、薬を服用しているときはNRS6

その他の症状

背中がこる(重い感じ)

腰が痛い(重い感じ)母の介助の時期は頻繁に感じたが、今はたまにあるかないか。

心配事 

不安がある

眠れない

冷え症がある(手>足)

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患者さんの体表観察情報

顔面気色診

顔面気色診

心・肝(青黒)・腎(青) 
腠理:密 
膏沢:有

背中の診察.jpg

背候診

左心兪実 左肝兪虚、右肝兪実 、右脾兪実、左胞肓虚
圧痛(筋縮、八椎下、至陽、霊台、神道)

舌診.jpg

舌診

舌色:紅色 舌先舌辺紅刺
舌質:白膩苔
舌形:老  
態 :力入る 

夢分流腹診図.jpg

腹診

以下に硬い邪あり
心下
両脾(左<右)
胃土、臍周

脈診.jpg

脈診

一息三至半 緩不足 左関上:枯脈(浮位)、右関上(やや滑)
脈幅+、脈力+、重按ー

手足のツボの診察

経穴診

左神門やや虚、右内関実、右後渓虚中実、右合谷実、左腕骨実、右太衝実、右照海虚、左臨泣実、右豊隆実、左太白虚

東洋医学的な診断名

肝鬱気滞 肝鬱化火〜心肝火旺になりかけ (化火内風)

治療経過

<初診>

右手の小指のツボ「刺鍼15分」


<2診目>9日後来院 

鍼後、当日のみ眠気があった。翌日は肩から背中にかけて柔らかくなり、歩行がとてもしやすくなった。本日まで今も緩んでいる。体の不安が減り、薬の効果が切れても歩行しやすい。食欲がでてきて、睡眠の中途覚醒が一回もなかった。手の震えは不変、足のふらつきは地に足がついているようで、マシとのこと。


左手の小指のツボ「刺鍼25分」


1ヶ月半、週一回の治療


<4診目〜9診目>

上記のツボや「霊道穴」を使用「25〜30分」


以降、症状は安定し、月に1〜2回ほどのメンテナンスを行なっています。


多少の寒暖差や不安で症状が一時的に強くなる瞬間もありますが、合唱コンクールで神戸に行ったり、海外旅行にもいけていて、充実された毎日を過ごされております。

完治とまではいけてないものの、鍼灸治療によりパーキンソン症状の改善が見られた一症例でした。

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同じ症状でお悩みの方へ

これまでに当院で対応してきた症状や、東洋医学の視点からの考え方を、ブログでも詳しくご紹介しています。「病院では原因がわからなかった」「なんとなくの不調が続いている」そんなお悩みを抱える方に向けて、少しでもヒントになるような情報をお届けできればと思い、書き綴ってきました。同じような症状でお困りの方の参考になる記事を、こちらにまとめています。体のことを知るきっかけとして、そして「一人じゃない」と感じていただけるきっかけになれば幸いです。

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