学校前に腹痛・下痢が出る高校生の1症例
熊本市で東洋医学専門の鍼灸治療を行う当院では、内科的な不調や自律神経の乱れなど、原因がはっきりしない症状にも対応しています。 このページでは、実際に来院された方の症例と、その診察・施術の流れをご紹介しています。同じようなお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。
初診日:X年9月17日

患者さん情報
10代男性 高校生
パソコン部に所属し、本人は日常生活を楽しんでいると述べるが、母親いわく中学までは楽しそうに通学していたが、熊本に引っ越してきて以降はあまり楽しそうではない印象を受けている。
服用中のお薬
クラシエ系桂枝加芍薬湯エキス錠
ミヤBM錠
お悩みの症状
毎日続く下痢・腹痛
起床後すぐに下腹部痛が起こり、軟便〜水様便が出る。日中から夜にかけて間欠的で、一度トイレで排泄すると連続3-4回下すことが多い。1週間前から下腹部痛ではなく、胃脘痛に変わってきている。
<増悪因子>
朝(TOP)、食事中、食後(食事内容による差なし)
<緩解因子>
排便後、仰臥位で横になること
<不変因子>
入浴、天候、季節
<不明因子>
運動

既往歴〜現病歴
幼少期
大阪市にて出生。風邪を引きやすく、サラサラとした鼻水が頻繁にみられた。
3歳時:小児喘息で入院。ステロイド吸入器を使用。アトピー性皮膚炎(肘窩、膝窩、顔全体?)発症。小学高学年まで症状が持続。
小学5年時
斜視(左右不明)の手術を受ける。術後は特に問題なし。
中学1年〜:視力が徐々に低下し、現在の矯正視力は左右ともに0.1。
母親の話では、転校前までは元気で学校生活を楽しんでいたとのこと。
中学3年時
父親の転勤に伴い、大阪から熊本へ転居。この頃から時折下腹部痛を訴えるようになるが、排便習慣に大きな異常はなし。また、頭痛も時折みられるが、部位や頻度については不明。
高校時
パソコン部に所属し、本人は日常生活を楽しんでいると述べるが、母親いわく中学までは楽しそうに通学していたが、熊本に引っ越してきて以降はあまり楽しそうではない印象を受けている。
X年9月:主訴発症
9月初旬より後期が始まり、初めの4〜5日間は問題なく登校できていたが、6日目の朝に突発的な下腹部痛を訴え、その後3〜4回の水様性下痢を呈した。残便感は認められず、症状は一時的に軽快したものの、登校は中止した。
以降、軟便から水様便を1日1〜3回排出する日が続き、下腹部痛は昼夜問わず間欠的に出現。内科を受診し、桂枝加芍薬湯を処方されるも、下痢の症状は2日間のみ軽快し、その後再発。さらに胃痛を訴えたため、新たな薬剤(処方内容不明)に変更されたが、症状は持続している。
大便検査および各種検査において異常所見は認められず、現在は下腹部痛よりも胃痛が主症状となり、下痢も毎日継続している。
その他の症状
頭が痛い
鼻詰まり
鼻炎・花粉症
頬裏の口内炎ができやすい
非回転性のめまい
悩み・心配事・不安がある
眠れない
天候により体調を崩す
よく下痢になる。
乗り物酔いしやすい
胃が痛い
体がかゆい
冷え症である
学校からの帰宅後の夕方に疲れを感じやすい
患者さんの体表観察情報

顔面気色診
神:栄
形:中
気色:心肝青白

背候診
左肝兪:虚中実
右肝兪:実
左肝兪一行

舌診
舌色:紅色
舌苔:白薄苔
舌腹:紅色
舌尖紅刺あり

腹診
以下に硬い邪あり
心下
両脾募
臍周

脈診
一息三至半 緩滑脈
脈幅+
脈力+
重按±
.png)
経穴診
右太衝冷え
左後渓:虚中実
右後渓:冷 実
東洋医学的な診断名
肝脾不和
人はストレスが加わると肝臓が頑張ろうとします。その肝臓に気の停滞が起こり、脾臓(胃腸)を襲い、下痢になるという病理です。
治療経過
<初診>
お腹に打鍼術(火曳の鍼→散ずる鍼→火曳の鍼)
<2診目>3日後に来院
前回の鍼治療後、体のだるさ・眠気が当日のみ出る。
腹痛は2日間なかったが、今朝腹痛あり。
下痢は前回治療後から一度もないが、軟便〜普通便の間で、残便感なし。
お腹に打鍼術(火曳の鍼→散ずる鍼→火曳の鍼)
<3診目>4日後に来院
だるさ・眠気が当日のみ出る。
翌日は腹痛があり、今朝もあったとのこと。
下痢はない。
治療を変更 左後渓というツボに2番鍼で15分置鍼
以降、来院はなかったため1週間後に連絡したところ、腹痛もなく、下痢もでなくなったようでした。
同じ症状でお悩みの方へ
これまでに当院で対応してきた症状や、東洋医学の視点からの考え方を、ブログでも詳しくご紹介しています。「病院では原因がわからなかった」「なんとなくの不調が続いている」そんなお悩みを抱える方に向けて、少しでもヒントになるような情報をお届け できればと思い、書き綴ってきました。同じような症状でお困りの方の参考になる記事を、こちらにまとめています。体のことを知るきっかけとして、そして「一人じゃない」と感じていただけるきっかけになれば幸いです。