すべり症による両臀部痛、両大腿前面の痺れの1症例
熊本市で東洋医学専門の鍼灸治療を行う当院では、内科的な不調や自律神経の乱れなど、原因がはっきりしない症状にも対応しています。 このページでは、実際に来院された方の症例と、その診察・施術の流れをご紹介しています。同じようなお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。
初診日:X年4月19日

患者さん情報
60代男性 現在無職 1ヶ月半後に神奈川県に引っ越す予定。健康のために散歩をしている。
服用中のお薬
心臓の薬(不明)
セレコックス(整形外科)
便秘薬
お悩みの症状
左腰部〜左臀部にかけての疼痛と両大腿前面に痺れ
左腰部から左臀部にかけて疼痛および痺れがある。
起床時のベッドからの立ち上がり時に、NRS5の腰臀部痛が毎日出現する。
日によって左側、右側と移行する遊走性の痛みで、
1週間前から両大腿前面に痺れが出現しており、常に感じる。
<増悪因子>
冷える、長座
<誘発因子>
朝の起床時、立ち上がり時
<緩解因子>
散歩(10分ほど経過すると痛みと違和感ともに消失する)、入浴、セレコックス服用

既往歴〜現病歴
幼少期
扁桃腺が腫れやすく、頻繁に発熱する体質だった。
アデノイド切除
中学
友人とプロレスごっこをしていて、首を痛める。以降、中学-大学時、勉強が数十分続くと首肩こりを感じるようになる。
50代
交通事故 むち打ちにより右首痛発症。マッサージや鍼治療を始める。現在も定期的に行わないと痛みが出てくる。
63歳
右顔の顔面神経麻痺発症。10日間の入院で、ステロイド療法で治る。
64歳
副鼻腔炎発症。手術。
65歳
心臓のステント手術。10月に胃マルトリンパ腫が見つかる。
66歳
退職
2ヶ月前の2月下旬、胃マルトリンパ腫の検査後、便秘のために長時間トイレの便座に座り、数十分間いきんだ結果、大量の排便があった。排便後、残便感はなかったが、便座から立ち上がる際に左腰部から左臀部にかけて疼痛および痺れが出現した。この疼痛は持続し、以降、起床時のベッドから立ち上がりの歩行開始時にNRS8の強い腰臀部痛が毎日出現するようになる。
そして、整形外科にて腰椎すべり症と診断される。
経過
3月頃より疼痛部位に変動が見られ、日によって左側、右側と移行する遊走性の痛みに変化している。疼痛の強度は依然としてNRS8であった。
現在の状況
この2ヶ月間で疼痛は次第に緩和し、現在はNRS5程度の痛みがある。しかし、1週間前から両大腿前面に痺れが出現しており、常に感じる。
その他の症状
首・肩・背中がこる
腰が痛い
花粉症
右の耳鳴り
よく便秘になる
患者さんの体表観察情報

顔面気色診
神:栄
色:赤黒
形:中
腎(青黒)

背候診
左膈兪虚
右肝実
左膀胱兪虚(ツボの弱りが大きい)

舌診
舌色:淡白色
舌苔:白膩苔、湿潤