左頚部〜左肩にかけての痛み・痺れと不眠の1症例
熊本市で東洋医学専門の鍼灸治療を行う当院では、内科的な不調や自律神経の乱れなど、原因がはっきりしない症状にも対応しています。 このページでは、実際に来院された方の症例と、その診察・施術の流れをご紹介しています。同じようなお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。
初診日:X年5月03日

患者さん情報
50代男性 会社員
基本週5日だが、役職について以降、休日も働くことが多く、実質週6勤務になっている。
服用中のお薬
チラージン(甲状腺ホルモン製剤)
お悩みの症状
①左頚部〜左肩にかけての痛み・痺れ
②不眠
①左頚部(天窓穴付近〜左肩髃付近)に、固定性の突っ張るような安静時痛がある。(NRS3)
頚部の左回旋時+左側屈時に、上肢前面〜外側に電気が走る(NRS3)
車の運転で腕をキープすることが辛い。
・増悪因子 なし
・誘発因子 車の運転で腕をキープする時・左回旋+左側屈時
・緩解因子 温泉・サウナ
・不変因子 ストレッチ・時辰・睡眠・精神的疲労
・不明因子 季節
②不眠
2日に1回は寝つきが悪く、朝まで寝付けない。眠れなかった日の翌日は、10:00〜5:00まで眠れるが、
中途覚醒がある。

既往歴〜現病歴
幼少期
熊本市出身 兄・姉・本人・父・母の5人家族
大きな病気なく元気に育つ。
小学生
野球部
練習には問題なくついていけていた。
睡眠・食事・二便異常なし
中学生
テニス部
練習量ハードだったが、問題なくついていけていた。
睡眠・食事・二便異常無し
高校生
特記事項無し
睡眠・食事・二便異常無し
高校卒業後
建設用の鉄骨を製作する会社に就職する。(現職)
現場仕事で30kg以上の重い荷物を持つことが多かったが、肉体的・精神的にも問題なかった。
20歳
この頃は生活が乱れており、深夜まで遊ぶことが多く、大量にアルコールを摂取していた。運動習慣もなかった。胃にピロリ菌があった。
そんな生活が続いていたころ、急に吐血・血便がでて、十二指腸潰瘍と診断される。
注射と投薬(薬名不明)で完治したが、完治以降、逆にアルコールの摂取は増えていった。
20代後半
重い荷物を運ぶことが増え、1度ギックリ腰を発症。軽度ですぐに良くなる。
30代
特別運動習慣はなかったが、仕事では汗をかき、精神的・肉体的にも元気だった。
40代
仕事は自由で、好きなようにできる環境で、ストレスはなかった。
運動習慣なし。飲酒量は継続。
45歳
急に動悸・頻尿・不眠が出るようになり、バセドウ病と診断される。
季節問わず、鼻腔に乾燥感が出るようになり、鼻水が出ず、鼻血がでやすくなる。
この頃から、腰部に重だるい痛みを常に自覚するよう(動くと楽)になり、肉体的疲労が溜まると、ギックリ腰のような痛みが出るようになる。
40代後半
福岡に単身赴任。
仕事のサイクルが変わり、昼間に睡眠をとり、夜中に仕事をするようになる。
この頃から寝つきが悪くなる。
50歳
単身赴任が終わり、自宅に戻る。
仕事は現場仕事から役員になる。
この頃から、役職についたことでプレッシャー・不安を感じるようになる。
首肩こり・夜間の中途覚醒(パッと目覚めてトイレへ)発症。
50代後半
鼠蹊ヘルニア(右側)発症。
4月にOPE▶︎術後問題無し
10日前:左頚部〜左上肢痛発症。
後に、病院では軽度の頚部ヘルニアと言われる。
その他の症状
首肩背中がこる
関節が痛む
腰が痛い
悩み・心配事・不安がある
眠れない
冷え症である ここ数年足が冷えやすい(左=右)
患者さんの体表観察情報

顔面気色診
神:栄
色:青赤黒
形:中
心肝赤黒、脾、腎青(膏沢乏しい)

背候診
左厥陰兪実・左心兪実・右膈兪虚中実・左胆兪虚中実・左脾兪虚中実・右脾兪実・腎兪虚中実・左膀胱兪やや虚

舌診
舌色:淡紅色
舌苔:白薄苔
舌腹:紅色
舌下静脈怒張 胖嫩

腹診
以下に硬い邪あり
心下
脾募(左>右)
臍周やや力なし

脈診
一息三至半 緩滑脈
脈幅+
脈力+
重按:左ー・右±
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経穴診
右神門虚・右内関やや実・右後渓実・右照海虚・右豊隆実・左霊道虚
東洋医学的な診断名
腎虚=気滞血瘀 空間左上
治療経過
<初診の治療>
治療・・・右照海+百会左の2本刺鍼 20分
<2回目治療>10日後に来院
安静時の首の痛みが軽減した。