上腹部の張り・喉のつかえの1症例
熊本市で東洋医学専門の鍼灸治療を行う当院では、内科的な不調や自律神経の乱れなど、原因がはっきりしない症状にも対応しています。 このページでは、実際に来院された方の症例と、その診察・施術の流れをご紹介しています。同じようなお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。
初診日:X年4月04日

患者さん情報
20代女性 コンサルティングなどのPCを使用した仕事を行なっている。週5日稼働。
服用中のお薬
胃酸を抑える薬を服用していたが、効果がないため、現在服用なし
お悩みの症状
上腹部のムカムカ・喉のつかえ・お腹の張り
来院の約1ヶ月前から、休みなく1日10時間程度パソコン作業を続けていた。就寝は深夜2時、起床は8時という生活が続き、疲労が蓄積していた。
その後、奈良県の実家へ帰省。
帰省から4日が経過した頃、微熱(37.0℃)を発症。発熱は短期間で寛解したが、病み上がりの状態で唐揚げ定食を満腹まで摂取。その直後より、胃のもたれ、咽喉のつかえ感、胃の張りを自覚するようになる。
一時的な生理反応と考え経過を観察したが、症状は改善せず。薬局で胃酸分泌抑制薬を購入し服用するも、効果はみられなかっ た。
そのまま症状が持続し、現在に至る。上記症状は夕方から夜間にかけて悪化する傾向がある。また、近頃は腰部の冷えを自覚するようになっている。

既往歴〜現病歴
幼少期
熊本県八代市出生。
出産後、奈良県で育つ。
大きな病気はないが、おたふく風邪で入院したことがある。
小学生
初潮。月経痛なし。
小学5,6年頃に顔面神経麻痺(左右不明)になるが、病院には行かず、奈良県の鍼灸院で1週間通い治癒。
中学生
ソフトボールに入部
練習にも問題なくついていけていた。
この頃から、春ごろ?になると花粉症があった。
大学生
大阪の文系の大学へ進学する。
4年間充実した生活を送れていた。
20代
熊本県八代市に親戚が住んでいて、熊本に住みたかったので、引越す。
コンサルティングなどの委託業務を開始。
主訴発症
その他の症状
首肩がこる
腰が痛い
アレルギーがある
げっぷ・あくびが出る
のどが詰まる感じがする
目の疲れ・痒みがある
天候の変化で体調を崩す
胸焼けがある
乗り物酔いする
腹がはる
胃がもたれる
冷え症がある
患者さんの体表観察情報

顔面気色診
神:栄
形:中
色:心肝色抜け

背候診
上背部熱感・右膈 肝実・左胆兪虚・右胆兪実・左膀胱兪虚

舌診
舌色:紅色
舌苔:白薄苔
舌腹:紅色
舌尖紅刺

腹診
以下に硬い邪あり
心下
脾募(左<右)
臍周

脈診
一息三至半 緩滑枯脈
脈幅+
脈力+
重按+
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経穴診
右神門虚・右合谷虚中実・右太衝やや実・右内関実・右後渓虚中実・右公孫虚・左照海虚・右申脈虚
東洋医学的な診断名
肝鬱気滞〜肝気上逆
治療経過
<初診の治療>
治療・・・右手の小腸のツボに1本刺鍼 15分
念の為、1週間後にもう一度診せてくださいと伝える。
<2回目治療>7日後に来院
前回治療後の2日後に、上腹部の張りと喉の詰まり感がなくなったとのこと。
睡眠も深く眠れるようになっている。
治療・・・同じツボに1本刺鍼 25分
以上で治療を終えました。
この方は、私が信頼する奈良県の先生からご紹介をいただき、診させていただきました。
症状の発症からまだ1週間ほどしか経過していなかったため、1回の施術で症状が消えたのだと思います。
東洋医学的には「肝鬱気滞〜肝気上逆」と診断していましたが、早期に症状が取れたことを考えると、主に気の停滞が中心(肝鬱気滞>肝気上逆)だったこ とが分かります。
当院では、このように東洋医学的な視点から症状を分析し、ほとんどの場合、一本だけ鍼を用いて施術を行っています。それが、将来の経験となり、治せる疾患が増えていくと考えているからです。経験が未来の治療をつくる。そのためにも、一本鍼にこだわって日々臨床を行っております。
同じ症状でお悩みの方へ
これまでに当院で対応してきた症状や、東洋医学の視点からの考え方を、ブログでも詳しくご紹介しています。「病院では原因がわからなかった」「なんとなくの不調が続いている」そんなお悩みを抱える方に向けて、少しでもヒントになるような情報をお届けできればと 思い、書き綴ってきました。同じような症状でお困りの方の参考になる記事を、こちらにまとめています。体のことを知るきっかけとして、そして「一人じゃない」と感じていただけるきっかけになれば幸いです。