頭部多汗症の1症例
熊本市で東洋医学専門の鍼灸治療を行う当院では、内科的な不調や自律神経の乱れなど、原因がはっきりしない症状にも対応しています。 このページでは、実際に来院された方の症例と、その診察・施術の流れをご紹介しています。同じようなお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。
初診日:X年3月23日

患者さん情報
10代女性 中学生
服用中のお薬
服用なし
黄蓮解毒湯・防已黄耆湯・黄耆建中湯を試したきたが効果なし
お悩みの症状
頭部多汗症
暑い日や夏の通学時、体育などの運動時に頭からの汗が止まらなくなる。
他の部位に比べ、頭の汗が異常に多く、髪の毛先までびしょびしょになり、シャワーを浴びた後のように濡れる。
ひどい時は髪を絞れるほど汗が出てしまう。

既往歴〜現病歴
幼少期
熊本市出生。
母親曰く、幼稚園生の頃から帽子が汗で濡れていた。
汗は、お腹や背中にもかいていた。
小学生
体育の運動後に、まるでプールに入ったかのような髪の毛の濡れ方をするようになる。汗はなかなか止まらずにずっと出てくる。
主訴を気にするようになる。
5年生頃から、朝方お腹の痛みを訴えることが多くなり、下痢をよくしていた。
中学生
汗は続く。
その他の症状
アレルギー(鼻炎・結膜炎)がある
あくびがよく出る
目の症状(痒み・光が眩しい)
悩み・心配事・不安がある
よく下痢になる
冷え症
患者さんの体表観察情報

顔面気色診
神:栄
形:中〜肥
色:心色抜け・腎青黒
腠理:密 膏沢:有り

背候診
左心兪虚・右肝兪実・右堪胆兪実・右脾兪実

舌診
舌色:紅色
舌苔:白薄苔
舌腹:紅色
舌戦

腹診
以下に硬い邪あり
心下
脾募(左<右)胃土
臍周

脈診
一息三至半 緩滑枯脈
脈幅+
脈力+
重按+
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経穴診
右神門虚・右合谷実・右太衝・右内関実・左後渓虚中実・左照海虚
東洋医学的な診断名
腎虚(陰>陽)≧肝気上逆
治療経過
<1〜5診目>
腎臓(下半身)を補うため、主に下半身のツボを使用。
脈力が弱かったのが、徐々に力がついてくる。
汗はかかない日もあれば、かく日もある。
頭の汗が全体的に多い。
<6〜17診目>
肝気が上がるの降ろすため、頭や手のツボを使用。
この期間に行われた体育祭や練習などで、猛暑の中外で運動することが多かったが、以前までと比べて、頭の汗が減ってきていると自覚する。
※10診目以降月に1,2回の通院。
<18診〜26診目>
気を補ったり、散らしたりという治療。
この一年は全体を通して、頭の汗で悩むことは明らかに少なかった。
夏の猛暑日でも髪の毛が濡れることはなくなり、頭の汗はかいても他の箇所と同じくらいで均等にかくようになったとのこと。
<27診〜30診目>
通学中の自転車で腰や背中に汗をかくと仰っている。
これは病理ではなく生理的現象と捉えております。