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慢性前立腺炎による会陰部痛・違和感の1症例

熊本市で東洋医学専門の鍼灸治療を行う当院では、内科的な不調や自律神経の乱れなど、原因がはっきりしない症状にも対応しています。
このページでは、実際に来院された方の症例と、その診察・施術の流れをご紹介しています。
また、掲載している症例はすべて、患者さんご本人から同意をいただいたうえで紹介しております。
同じようなお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。

初診日:X年1月20日

慢性前立腺炎の1症例

患者さん情報

40代男性 会社員勤務

服用中のお薬

セルニルトン錠

お悩みの症状

慢性前立腺炎による会陰部痛・違和感

会陰部の痛みや違和感がバラバラで襲ってくる。痛みの程度は激痛が10とすると、3程度。

上記症状に加え、残尿感と尿漏れがあり、排尿痛はない。

会陰部痛に苦しむ男性
予約バナーcta

既往歴〜現病歴

幼少期

大きな病気を患うことなく、屋外で活発に遊ぶ子供だった。


学生時代

体調は良好で、部活動や体育にも積極的に参加していた。


20代

一人暮らしを始めた頃から、毎晩ビールや焼酎を飲む習慣がつく。

また、現職に就いてからはPC業務が増え、首肩のこりを感じるようになる。この頃から運動習慣はなく、20代後半にはぎっくり腰を経験する。


30代

結婚後も食生活のバランスは比較的良好だったが、飲酒習慣は継続していた。

また、日常的に軟便傾向がみられ、20代の頃と比較して下痢の頻度も増えていた。


40代

運動習慣は依然としてなかったが、部署異動に伴い、以前よりも十分な睡眠時間を確保できるようになった。しかし、首肩のこりは変わらず続いていた。


2ヶ月前、陰部に強い外的負荷がかかり(詳細省略)、激痛が走る。その後、泌尿器科を受診するも、検査では明らかな異常は認められず、痛みも徐々に軽減していた。


1ヶ月前(主訴発症)

排尿時に違和感を覚えるようになり、次第にしみるような痛みが出現したため、泌尿器科を受診する。

当初は抗生物質を処方されたが、その後、慢性前立腺炎と診断され、セルニルトン錠が処方された。

服薬後、症状は徐々に軽減し、発症当初と比較して1〜2割程度の改善がみられたものの、日によって症状に波があり、仕事中に長時間座っていることで痛みが増悪することもあった。

そのため、次回の超音波(エコー)検査を控えた段階で、当院を受診された。

その他の症状

首肩が痛い

アレルギーがある

曇りの日に体調をくずしやすい

体重増加がある(1年で5kg)

残尿感がある

尿切れが悪い

排尿時に不快感がある

夜間尿(尿意覚醒)がある

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患者さんの体表観察情報

顔面気色診

顔面気色診

神:栄
形:中〜肥
色:心肝 青白 腎青黒
腠理:密 膏沢:あり

背中の診察.jpg

背候診

左督兪虚・左肝兪虚中実・左膀胱兪虚・左胞肓虚などなど

舌診.jpg

舌診

舌色:紅色
舌苔:黄膩苔
舌腹:紅色

夢分流腹診図.jpg

腹診

以下に硬い邪あり
右心下脾募
左腎水

脈診.jpg

脈診

四至 左寸関に枯脈
脈幅+
脈力+
重按+
押し切れの脈:あり

手足のツボの診察

経穴診

右豊隆実・右上廉実・左照海虚・左太渓虚など

東洋医学的な診断名

腎陰虚 膀胱湿熱


弁病:淋証

治療経過

<1診目>

左臀部のツボに1本鍼を行い、15分間置鍼する。


<2診目>4日後に来院

前回の治療後、症状が大幅に改善したとのこと。

会陰部痛はNRS3→1程度まで軽減し、日中絶えず気になっていた痛みも、頻度・程度ともに減少していた。

また、排尿時の違和感や射精時痛、尿勢にも改善がみられ、尿意によって夜間に目が覚めることもなくなったとのこと。


前回と同じ左臀部のツボに1本鍼を行い、25分間置鍼する。



慢性前立腺炎に対する東洋医学的な考え方


慢性前立腺炎の患者さんは、セルニルトンや竜胆瀉肝湯などを服用されている方も多くいらっしゃいます。

当院では、鍼灸治療を行うことで、比較的早い段階から症状の軽減がみられるケースも経験しています。今回は、その一例としてご紹介させていただきました。


ただし、慢性前立腺炎は、東洋医学的にも治療が簡単ではない疾患の一つです。

東洋医学では、腎虚や膀胱湿熱などの病理が関係しているケースが多くみられますが、実際にはそれだけではありません。


例えば、ストレスによる肝鬱(肝の気の巡りが滞った状態)が主体となるタイプや、長期間の慢性化によって会陰部周辺の経絡(気血の通り道)に湿熱や瘀血が停滞しているタイプ、さらには心神の失調など、精神的な要因が深く関与しているタイプなど、その病態は多岐にわたります。


このように病態が複雑になるほど、「この症状にはこの薬」「この病気にはこのツボ」「この疾患にはこの漢方薬」といった画一的な治療では、十分な改善が得られないことも少なくありません。


そのため、当院では一人ひとりの体質や病の所在、病勢(病の勢いや進行状態)を詳しく見極め、それぞれの病態に応じた鍼灸治療を行うことで、できるだけ早期に症状が落ち着いた状態(寛解期)へ導くことを目指しています。


また、慢性前立腺炎は、一度症状が軽減しても、生活習慣などによって再燃することがあります。

特に、過度なストレス、運動不足、脂っこい食事や甘いものの過食、過度な肉体疲労、睡眠不足などは、東洋医学でいう脾・腎・心・肝といった臓腑の働きを失調させ、症状の悪化につながる要因になると考えられます。


そのため、当院では鍼灸治療だけでなく、患者さん一人ひとりの体質や生活環境に合わせた生活指導も行い、症状の再燃をできるだけ防ぎ、良好な状態を維持できる身体づくりをサポートしています。

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同じ症状でお悩みの方へ

これまでに当院で対応してきた症状や、東洋医学の視点からの考え方を、ブログでも詳しくご紹介しています。「病院では原因がわからなかった」「なんとなくの不調が続いている」そんなお悩みを抱える方に向けて、少しでもヒントになるような情報をお届けできればと思い、書き綴ってきました。同じような症状でお困りの方の参考になる記事を、こちらにまとめています。体のことを知るきっかけとして、そして「一人じゃない」と感じていただけるきっかけになれば幸いです。

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