右目の視界が重なって見える複視の1症例
熊本市で東洋医学専門の鍼灸治療を行う当院では、内科的な不調や自律神経の乱れなど、原因がはっきりしない症状にも対応しています。 このページでは、実際に来院された方の症例と、その診察・施術の流れをご紹介しています。同じようなお悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。
初診日:X年10月7日

患者さん情報
70代男性 駐車場の清掃や警備・管理を行う仕事で働いている。休日は、ゴルフや釣りをしている。
服用中のお薬
バイアスピリン錠
ロスバスタチン錠
イルアミクス配合錠
お悩みの症状
右目の複視
日帰りで天草の地磯へ釣りに出かけ、夕方から翌朝まで、ほぼ14時間ずっと釣りを楽しんだ。釣りのあと、車に戻ってひと息ついたとき、右目のまぶたが腫れていることに気づく。虫に刺されたのかなと思ったが、痒みはなく、上まぶたが赤く腫れた状態が3〜4日ほど続いた。
腫れが落ち着いてきた頃から、右目の視野に違和感が出はじめる。右を向くと、視野の右側が重なって見えるようになり、眼科を受診したところ、「複視」と診断される。
病院では、「自然に良くなることもあるけれど、悪化するようなら脳に原因がある可能性もある」と説明を受け、しばらくは様子を見ながら通院することになった。
今のところ、症状は出始めた頃からずっと変わらず続いている。

既往歴〜現病歴
幼少期
大きな病気はなく、外で活発に遊べる元気な子供だった。
40代
ゴルフのインストラクターとして働くようになり、重だるい腰痛を感じるようになる。
疲労は睡眠で取れていたが、この頃から、徐々に睡眠をとっても疲労感が残るようになる。
45歳ごとからキーンという高い音の耳鳴りが出るようになる。
50歳
狭心症発症。
ステントを入れて、以降疲労感がなくなる。
ニトロを服用するようになる。
60代
夜間尿(尿意覚醒)が出始める。
70代
現在駐車場の管理の仕事につき、長時間立っていることが多く、途中で立っていられず、座ることも多い。
発症前の3月前〜1ヶ月前
釣りシーズンで月に2-3回行く。仕事でのストレスがあり、それを発散するために釣りにいき、アルコールの摂取も多くなっていた。
1ヶ月前:主訴発症
その他の症状
首肩背中がこる
膝関節が痛む
腰が痛い
耳鳴りがある45歳以降
患者さんの体表観察情報

顔面気色診
神:栄
形:中
色:心肝赤黒
腠理:密 膏沢:有り

背候診
左膈兪虚中実・右膈兪実・至陽圧痛・右膈肝実・右肝兪実・左胃兪虚中実・左膀胱兪虚など

舌診
舌色:紅色
舌苔:黄膩苔
舌腹:紅色
舌尖紅刺

腹診
以下に硬い邪あり
心下
右脾募〜右肺先
臍周(緊張・冷え)右天枢反応

脈診
一息三至半 滑大脈
脈幅+
脈力+
重按±
.png)
経穴診
右神門実・右太衝実・左衝陽虚中実・右後渓虚中実・左照海虚・右上巨虚実・右蠡溝実熱・豊隆やや実
東洋医学的な診断名
肝気上逆>肝胆湿熱>腎虚
治療経過
<1診目>
百会・・5番鍼で20分置き針
<2診目>
前回の鍼治療後、だるさ眠気はなく、目の症状に変化無し
百会・・5番鍼で30分置き針
<3診目>
目の症状不変。
空間的な気の偏在が右側にあると判断し、治療のツボを変更する。
右後渓(手のツボ)・・2番鍼で35分置き針(補<瀉)
<4診目>
右側の視界は、近くはピンとが合うようになってくる。
遠くを見ると、まだかなり横にずれて見える。
右後渓(手のツボ)・・2番鍼で35分置き針(瀉)



